電子媒体が発達した今でも、紙媒体のほうが落ち着くと言うほど私たちの生活に根付いている紙。

今回はその紙を製造している印刷・製紙工場について徹底解説します!


印刷・製紙工場の基礎知識

印刷工場の仕事内容

最初に印刷工場での仕事内容について見ていきたいと思います。印刷をすることが仕事であることはご存知であることと思います。

しかし具体的にどのような仕事内容であるのかを知っていられる方は、少ないのではないのでしょうか。

印刷工場では紙、ローラー、インクといった印刷機に関する道具を取り扱う印刷オペレーターと呼ばれる人たちがいます。

印刷工場での仕事とは基本的にこの印刷オペレーターの事を指します。印刷オペレーターが印刷機を操作して印刷をおこないます。通常、印刷機は非常に大きい為二人で作業をする場合が多いです。

また、印刷の際に色の濃淡などを見極める必要があるので繊細さも求められます。

印刷オペレーターになるために必要な資格は特にありませんが、最初は紙を積むなどの簡単な仕事から始まり一人前の印刷オペレーターになるには3年ほどかかると言われています。

しかし、印刷オペレーターとして働いていく中で工場内でキャリアアップすることもできたり、大手の印刷工場に転職する機会があったりする場合があります。


製紙工場の仕事内容

次に製紙工場の仕事内容について見ていきます。

製紙工場では紙を作るための機会を稼働させることはもちろん、紙の色を付ける塗料などを指定の場所に運んだりと言った力仕事もあります。

工場内の作業はチームを組んで行うことが多く一人に対して負担がかかりすぎません。


紙の製造工程

ここでは製紙工場で紙がどのように製造されるのかを簡単に紹介していきます。

①原料となる木材をチップ化したものの厚みを揃えます。

②チップに薬品を加えて高温・高圧で煮ることによって繊維分を取り出しパルプを生成します。この工程のことを蒸解工程と言います。

③パルプ中の異物をスクリーン・洗浄器によって除去・洗浄します。洗浄後、蒸解工程で残った樹脂を酸素で分解します。そしておよそ5種類の漂白剤を使用してパルプを漂白します。

④これらの工程を経たパルプを専用の機械を使うことによって紙が完成します。


ここまで読んでいただいた読者の皆様は印刷工場や製紙工場の仕事内容についてなんとなくお分かりいただけたことと思います。

>>紙の詳しい作り方について紹介した記事コチラになります。



印刷・製紙業が行われる主な場所・企業

次は、印刷・製紙業界の基礎的な情報についてお話ししたいと思います。


工場が集中している場所ってあるの?

印刷業は東京都大阪府といった大都市圏で盛んにおこなわれています。これは大都市圏では書籍などの需要が大きい為です。

一方で製紙産業が盛んな都道府県は1位から順番に静岡県、愛媛県、埼玉県となっています。

静岡県では昔から和紙の製造が盛んであったことに加えて、富士山麓での豊富な水資源や木材資源に恵まれており首都圏にも近く輸送コストが低かったことから製紙産業が盛んにおこなわれるようになったと言われています。

しかし愛媛県は製紙産業には不向きな地理的条件を抱えています。原料となる木材や水には恵まれておらず、大都市圏からも遠く輸送コストも嵩みます。

このように製紙産業には不利な地域であるにも関わらず愛媛県は静岡県に次ぐ全国第2位の生産高を誇っています。


業界規模ってどれくらい?

次に業界規模について見ていきます。

印刷業界の業界規模は3兆8000億円と言われています。平成19年以降印刷量の微減が続いています。

これはインターネットや電子書籍の普及により紙の本の需要が減少したことが理由に挙げられます。


大手企業ってどんなのがあるの?

大手印刷企業

代表的な企業としては凸版印刷大日本印が挙げられます。凸版印刷は1兆5000億円、大日本印刷は1兆4000億円となっています。

印刷業界ではこの2つの企業が二強となっており、売り上げ面で追随できる企業は存在しません。


大手製紙企業

製紙業の業界規模はおよそ4兆7000億円です。これは日本の製造業におけるGDPの平成20年の金融危機により紙の内需や輸出が減少しました。

その後、しばらくの間生産量は伸び悩みましたが、平成25年の好景気に伴って生産高は増加しました。

代表的な企業としては王子ホールディングス日本製紙が挙げられます。

売上高はそれぞれおよそ1兆3000億円と1兆1000億円です。製紙業の業界規模が4兆7000億円ですからこの2社がどれほど大きな売上高を誇っているかが分かります。

>>印刷・製紙業界の大手企業についてもっと詳しく知りたいという方コチラ



印刷・製紙工場の問題点、課題

ここでは印刷・製紙産業の変化や課題について説明します。

まず少子高齢化により印刷業界の作業の担い手が減り、人手不足が表面化してきています。

また人口減少に加えて全国の市町村では合併も進んでおり印刷業界の顧客が減少しています。

他にはインターネットや電子書籍の普及により、広告などを紙に印刷する需要がなくなったり、紙の書籍の発行部数が伸び悩んだりなど、技術革新によっても業界に大きな変化が求められています。


そのため営業スタイルとして、印刷業として注文を受けて印刷をする部分だけを担う業態から、顧客のニーズを探り印刷以外の付加価値を付けた製品・サービスを開発して売り込んでいく形態も出てきています。

製紙業においても上に述べたようなインターネットと電子書籍の普及により紙の需要が減少しており苦しい状況に立たされています。



印刷・製紙工場の今後の動向、展望

今まで印刷・製紙産業の問題点を述べてきましたが、決して先が暗いという訳ではありません。

業界では現在の問題を克服して売り上げを伸ばそうと努力を続けています。


印刷業界の動向・展望

大日本印刷は広告などの紙媒体を印刷していましたが、今では半導体やカラーフィルタにも事業を広げています。そしてこの領域の売上高は事業全体の40%を占めるまでになっています。

大日本印刷だけでなく凸版印刷も半導体領域に進出しており総売上高の20%を占めています。

また、上記の大手二社は電子カタログの制作配信システムや、電子書籍の作成なども行っており時代の流れに乗ったビジネスを展開しています。

他には、工場の自動化です。従来の紙媒体は電子媒体と比べて多くの制作時間を要するため、これによる時間の短縮が期待されています。

また、過不足なく印刷することによって無駄を省き業界内での競争力の上昇につながります。


製紙業界の動向

製紙分野においては国内の紙需要の減少もあり海外への進出が進んでいます。

世界の紙需要4億トンのうちの40%がアジアが占めており、今後数多くの日本の製紙企業がアジアに進出をしていくものとみられています。

ここで忘れてはいけないことは、紙の需要が減少しているといえども国内の製紙業界が衰退する可能性。

は低いということです。

インターネットや電子媒体の普及によって紙の媒体を使わずに情報を入手する人が増えたのは事実です。しかし紙媒体を好んで使う人も多数存在していることも事実なのです。


印刷・製紙業界は多くの不安を抱えている業界であることは確かです。しかし問題を克服して売上を伸ばそうという強い熱意が感じられる将来の展望がある業界でもあるのです。

>>印刷・製紙業界のお仕事が向いている人がどんな人なのか気になる方コチラ



最後に

以上で「印刷・製紙工場についてご紹介します!」の記事は終わります!


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