このページでは、バスという乗り物についての全体像を掴んでいただくために、バスに関連した事柄を紹介していきます。



バスとは?

ではまず初めに、バス(bus)の定義から見ていきたいと思います。バス(bus)とは、主に決まったルートを巡回しながら乗客を目的地まで運ぶ乗り合い式の大型自動車のことを指します。

「バス」と言われて、イメージがパッと浮かばない人は滅多にいないのではないかと思われます。

busという言葉は、ラテン語で「全ての人のため」を意味する「omnibus(オムニバス)」から由来しています。この言葉が省略され、「乗り合い自動車」としての意味を持つようになり、今日のバス(bus)になりました。

今日では、利用するしないに関わらず、いったん家の外に出てみれば必ずと言っていいほど道を走る様々なバスや、バスの停留所や駅のバスターミナルでバスを待つ人たちなど、実際に走っているバスを見かけなくともバスに関連するものを目にするのではないでしょうか。

それほどバスとは私たちの生活に身近な存在、と言っても過言ではないのではないでしょうか。



バスの歴史


バスの起源

次に触れるのはバスの歴史です。普段私たちが目にするバスの事業形態は、どのようにして今日のものにまで至ったのでしょうか。バスの歴史を見ていくことで理解を深めていきたいと思います。

日本のバスは、明治時代に大阪で開かれた内国勧業博覧会のために梅田〜天王寺間に開設された臨時バスや、広島の横河〜可部間で運行した12人乗りのバスから始まります。

しかし当時はバスという概念がまだ確立・浸透おらず、道路の舗装状態なども相まった車両故障の頻発やコスト面での問題、人力車組合や軌道事業者など対人輸送を生業とする他の事業者からの執拗な妨害工作を受けるなど様々な問題に直面していました。

反対に、車両があれば営業・運行が可能なであり、加えて会社という体系を持たない事業であったため、零細事業者や個人によるバス業界への進出は相次いでいきました。


大正時代におけるバス

大正時代に入り、大正関東地震(関東大震災)が起こると、鉄道や軌道の線路が断絶され人々の日常の足が一時的に失われることになりました。

そこで応急措置として11人乗り用に改造された車両を導入しバス事業を開始したところ、これが好評となり一時的な応急措置を目的としたバスが恒常的に利用されるようになりました。この東京での成功を機に、全国的にバス事業が広まることになっていきます。

一方で既存の鉄道・軌道事業者に与える経済的打撃は小さくなく、それに伴い既存の鉄道・軌道事業者らによるバス事業の買収や自社系列のバス会社の設立、路線バス開設など、鉄道・軌道事業者らによるバス事業への進出も相次いでいきました。


昭和時代におけるバス

昭和の第二次大戦前にはバス会社同士の競争は激しさを増し、買収・合併を繰り返し、各主要バス会社の規模は大きくなっていきました。

第二次大戦後は統合体制の見直しや50年代後半〜60年代前半にかけての大手私鉄会社による観光開発を目的とした地方事業者の傘下への編入や、長距離路線の開設、複数バス会社の合併による急行バスの誕生など、バスの歴史を語る上では重要な意味を持つ時代であり、バスの黄金期とも言われました。

60年台後半からは自家用車の普及やそれに伴う都市部での渋滞遅延の多発、地方部の過疎化などバス業界を取り巻く環境の急激な変化に伴い、バス事業者は再編や撤退を余儀なくされました。


近代のバス

2000年代に入ると、「改正道路運送法」施行で乗合バス事業の公的な規制が取り払われ、事業への参入や赤字路線からの撤退などの自由化が進み、その主な現象としてタクシー・船舶・トラック運送会社などの乗合バス事業への新規参入が多く見られました。

一方では既存の不採算路線を使い、地方交通の現状を訴えるツアーなどを慣行するなど、事業の維持を図った新しい運行形態なども誕生しています。

このように日本のバスは今日の業態にたどり着くまでに様々な過程を経てきました。その中で、バス自体も車両の形状や走るコース、料金システム、走行距離など、その目的や用途に応じて多様化してきました。



バスの種類


ここで、前半部分で言及した「バスと言われて思い浮かべるイメージ」という話に戻りますが、駅や空港の発着場から多くの乗客を乗せて走る路線バス以外にも、高速道路を走るバスやたくさんの観光客が窓の外を眺めながら走るバス、幼稚園児や学生だけを乗せて走るバス、都会の中で走る窓や天井が吹き抜けたバス、水の上を滑るように進む船など、日々の日常の中で見かける様々な種類のバスを思い浮かべたかもしれません。

このように、一概にバスと言ってもその種類は多岐にわたります。バスの運行形態は、大きく分けて①「路線バス(乗合バス)」②「観光バス」③「送迎バス」の3種類に分けられます。


「路線バス(乗合バス)」とは?

主に町中で走っている、駅や営業所間を巡回しながら乗客の足となる乗り合い形式のバスのことを指します。

経営母体としては、だいたいが公営か民営に分かれています。一般的に見られるのが民営のバスであり、バス専門事業者・鉄軌道系事業者・異業種からの参入業者(タクシーやトラック運送業者等)に分類することができます。

料金体系としては、利用した距離に応じて初乗り運賃から10円単位で運賃が変動するタイプや、一定の料金を支払うだけで良い定額料金制の2パターンに分かれています。

一般に「高速バス」と呼ばれているバスも公式な定義はないものの、この路線バスに分類することができます。高速バスは首都圏〜京阪神などを結ぶような、高速道路を走る長距離バスのことを指します。鉄道などでは直行できないような都市と都市を結ぶのに、比較的低価格で利用できるという利用者には嬉しい特徴を持っています。

そしてもう一つの特徴が、移動中に仮眠を取ることができる、という点です。多くの方が高速バスにもつイメージとしてはこのイメージが強いのではないでしょうか。


「観光バス」とは?

主に観光を目的とするバスを指し、団体で貸し切る貸切バスや、乗り合い形式の定期観光バスに分かれています。

観光バスは学校の修学旅行や社員旅行など、団体で貸し切っての利用が多く、そのために車内ではテレビやマイクなどの音響映像機器を使用してカラオケやDVD再生を楽しめたり、車両によってはトイレや電子レンジが付いていたり、シャンデリアなどの照明器具にも凝っているなど、利用客にエンターテイメント性や利便性を提供する設備が充実しているのが特徴です。

定期観光バスは出発地から観光地を巡り、出発地に戻ってくるというツアー形式をとっており、ツアー主催者は観光業者であることが多いです。

観光バスの料金体系は時間と距離に応じて上限と下限を定めて各運輸局に提出された届け出を元に定められています。

定期観光バスの料金体系は運賃に加え、バスガイドの添乗料金や駐車料金、有料道路の通行料などを含めた額を基準に定めています。


「送迎バス」とは?

送迎バスとは幼稚園や学校、会社、工場などへ通学や通勤のために、最寄り駅や指定停留所からバスに乗る学生や従業員など限定された範囲の乗客の移動を目的としたバスのことです。他にも宿泊施設や観光施設、ショッピングセンターなどの商業施設への足としても用いられています。

料金体系としては、施設の利用者の方の移動を目的としているため、運行に際しては運賃は発生しない場合が多いです。そのため、道路運送法の旅客運送事業とはみなされず車両は自家用自動車として扱われるので、ドライバーの方の免許は第一種免許で足りる場合があります。

送迎バスの車両は路線バスの形状から、ミニバンやワンボックスカーなどの普通自動車にわたるまで幅広いサイズの車両が使用されています。



最後に


このようにバスには様々な種類や用途があり、私たちの暮らしや経済活動に深く根付いています。そんな身近な乗り物であるバスのドライバーの方々がどのように働いているのかなど、もし興味をお持ちになっていただけたのでしたら、他の関連記事もぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。