半導体・電子部品製造産業は、日本の産業を引っ張る代表的な産業の一角を担っています。

このページでは半導体・電子部品業界の求人に対して転職・就職を考えている方のために業界を代表する企業の様々な情報をご紹介しています。


そもそも、半導体・電子部品って何だろう?

まず半導体・電子部品の業界情報をご紹介していく前に、

「半導体って何?」

「言葉だけは聞いたことあるけどどういうモノなのか分からない」

「電子部品と半導体ってどう違うんだろう?」

などの疑問を抱いている方も少なくはないかと思いますので、まず最初に『半導体の定義』から説明していきたいと思います。


半導体の定義とは

半導体とは電気を通す性質が、よく通すモノ(良導体)と全く通さないモノ(絶縁体)の中間に位置する物質を指す言葉です。

主な素材はシリコンであり、そのほかの素材としてゲルマニウムや炭化ケイ素などが挙げられます。

半導体は電熱効果というものを持ち合わせており、温度が低いほど伝導性が低くなり、逆に温度が高いほど伝導性は高くなります。


通常「半導体」と言っても半導体そのものでなく、半導体を用いて作られたダイオードやトランジスタ、それらの集積回路であるICなどを指し示す場合が大半です。

このことから「半導体製造工場」と言葉で表現していても工場によって製造している半導体の種類は異なる場合がほとんどになってきます。


コンピュータや携帯電話、デジカメなどに使用されている『DRAM』・『フラッシュメモリ』や『集積回路』の素材であるシリコンウェハー(またはシリコンウェーハ)は半導体のまさに基盤材料であり、その製造には高度な技術が求められます。


ちなみに日本を代表するシリコンウェハーメーカーである、信越化学工業やSUMCOは世界市場でも2強の地位を誇っており、世界シェアも50~60%を占めています。


半導体はどのようにして製造されているの?

半導体は各メーカーやその請負の工場で製造されています。ここでは半導体を製造する工場を半導体工場と表現します。


半導体工場では、従業員は「クリーンルーム」という塵や埃の少ない綺麗な部屋で作業します。

半導体は産業製品の心臓部でもあり、精密さや清潔さが徹底して求められるため、従業員自身からも塵や埃が出ないように従業員は作業着を着て作業にあたります。


では従業員の方々は具体的にはどのような仕事を工場でしているのでしょうか。

半導体工場での作業内容は多岐に渡りますが、少しだけ例を挙げると以下のようになります。


・機械を操作して半導体製品を作るオペレーターとしての仕事(組立)

・顕微鏡を通して半導体製品に不備がないか検査する仕事(検査)


後述しますが、半導体産業は分業というスタイル(水平分業)を取り入れている企業もあるため、ここで紹介した作業はほんの一例に過ぎません。

「もっと詳しく知りたい」という方はジョブハウス工場の《各職種(半導体)》の記事などもぜひご覧になってみてください。


ちなみにデジタル半導体生産の現場では生産設備などにかかる初期費用に対して、生産量とともに変わる変動費用が少ないという特徴があります。

これは結果として製品を多く生産すればするほど一つの製品に対してのコストが減少するということです。つまり必然的に企業の持つ生産設備である工場はフル稼働で半導体を製造するのが好ましくなってきます。


そのため工場求人の中には日を跨いで勤務するシフト(深夜勤務や隔日勤務)も存在するので、働き方などについて詳しく知りたい方は《半導体工場、電子工場で働くなら知っておきたい給与と雇用形態》の記事も合わせてご覧になってみてください。


半導体の歴史をザックリ理解しよう!

日本での半導体は現代(冷戦期以降または高度経済成長期以降)において、経済用語である「産業のコメ」に該当するほど、日本の産業や経済を語る上で必要不可欠な存在です。

1973年に第四次中東戦争がきっかけで起こった第一次石油危機までは、日本の産業のコメは「鉄鋼」でした。


半導体は軍事開発においても様々な用途が見込まれたため、第二次世界大戦前後においてもヨーロッパを中心に研究・開発が行われていました。

その功績が現在の世界の半導体産業の発展につながっているのです。


電子部品ってどんなもの?

ここまで半導体について説明してきましたが、その一方でこの記事で扱う電子部品とは何なのかということについても触れていきます。

まず最初に結論から言うと、ここまで説明してきた「半導体」は「電子部品」のカテゴリに入ります。


電子部品とはパソコンや携帯電話などの記憶装置であるメモリー(DRAM・フラッシュメモリ)をはじめ様々な電子機器の基盤を指す言葉です。

よってこの業界では「半導体」と「電子部品」はほぼ同義であると言っても問題はないでしょう。



日本の半導体・電子部品業界ってどうなっているの?

半導体・電子部品の定義を理解してもらったところで、次は日本の半導体・電子部品業界の現状や業界が抱える課題を知っていただきたいと思います。


エレクトロニクス産業の現状は?

日本の半導体・電子部品の業界は産業という観点からすると、「エレクトロニクス産業」という産業に分類できます。

日本のエレクトロニクス産業は、東日本大震災後の生産活動の低迷や流通販売経路の混乱、円高や輸出の減少により停滞が続いていました。


しかし平成24年度からの国内経済や個人消費の回復、円高からの脱却によりここ数年で確実に回復してきています。

エレクトロニクス産業は大きく分けて3つに分類することができます。


①電気機械

②電子部品・デバイス

③情報通信機器


この記事で扱われる「半導体」「電子部品」は2つ目の電子部品・デバイスに該当します。


電子部品・デバイス産業は日本の輸出を牽引しており、着実に業績も伸長している一方で、世界のスマートフォン市場に出遅れた情報通信機器産業は輸出はおろか、国内への出荷量の下落が著しくなっています。

情報通信機器産業で日本が出遅れた背景にはスマートフォンの世界的に普及があります。


スマートフォンは電話やメールだけでなく、音楽を聴いたり、写真を撮影したり、テレビを視聴することすらできてしまいます。それはまさに日本が得意とする技術(テレビ・カメラ・オーディオ機器)を集結したものだったのです。

スマートフォンの誕生によって日本企業は市場の波に乗り遅れ、その影響を真っ向から受けることになってしまったのです。

そのスマートフォン市場の拡大が進む中で質を重視するあまり、市場の変化に柔軟に対応することができない日本の企業に対し、近年韓国などの量で勝る国が業績を伸ばしている状況が続いています。


電子デバイス(半導体)市場の現状は?

一つ前の見出しではエレクトロニクス産業を3つの産業に分けましたが、それぞれの市場規模の大きさでいうと情報通信機器産業→電子部品・デバイス(半導体)→電気機械の順番になります。


電子部品・デバイス(半導体)市場では日系企業は比較的高いシェアを誇っているものの、半導体は一時期に比べて減少しています。

半導体産業は80年代に世界市場で高いシェア率をマークしてから徐々にその数値は小さくなってはいるものの、産業として依然黒字は維持し続けています。


ここで、日本の電子デバイス(半導体)産業の現状をご説明したいと思います。

現在日本の電子デバイス(半導体)産業は正直、苦境に立たされていると言ってもいいでしょう。ではなぜ苦境に立つことになってしまったのでしょうか。

それは以下の3つの理由が挙げられます。


①日本の品質至上主義

②水平分業の浸透

③標準製品の生産体制への遅れ


これらの3つの理由を一つずつ説明していきたいと思います。

①日本の品質至上主義

日本の品質至上主義を説明すると、前述した通り日本の企業は製品に対してその質を重視するあまり、生産コストを優先しこれを実現するための技術開発を行なった韓国や台湾などに地位を逆転されてしまうという事態に繋がりました。


②水平分業の浸透

半導体産業における半導体の製造工程は大きく以下のように分けることができます。


◇(回路)設計

◇製造

◇製造装置

◇検査装置

◇材料供給

◇流通販売

◇上記全て(垂直統合)


垂直統合とは上記の工程を全て自社の技術で賄ってしまう生産体制のことを指します。

垂直統合は、生産コストや生産ノウハウが他社よりも劣っている工程、つまり苦手分野があると、生産効率性が落ちるというデメリットを含みます。


日本では東芝や富士通、ルネサスエレクトロニクスなど大手企業が顧客を囲い込む形で垂直統合を取り入れ、かつてはその強さを発揮していました。

しかし、市場規模が拡大した現在は世界的に水平分業が取り入れられています。これにより垂直統合の非効率性が浮き彫りになってしまいました。


苦手分野も得意分野も全て自社で行う垂直統合システムと比べ、水平分業システムでは各企業は自社の得意分野だけを行えばいいので無駄な投資や支出、経費がなくなり、結果としてエコになる、つまり効率的なのです。


③標準製品の生産体制への遅れ

国内のメーカーはもともと大手企業の一部門であったこともあり特定の顧客への生産しか行なっておらず、それにより顧客の囲い込みや差別化を図っていました。

それに対して標準製品は複数の顧客に向けて供給しやすく、生産規模の拡大による低コスト実現も可能なため携帯電話のような低価格競争が激しい分野では標準製品を生産する体制に整えることが必須であると言えます。



半導体・電子部品業界は今後どうなっていくの?

ここまで定義や業界の現状についてお話ししてきましたが、ここからは日本の半導体・電子部品業界の今後の展望や動向について触れていきたいと思います。


半導体・電子部品業界の展望(未来)

半導体は21世紀現在、様々な工業製品に使用されています。

この半導体は生産工場で製造されており、工場やその経営を行う企業が自然災害や財政悪化などの何らかの理由で長期間製造が出来ない状況に陥ると広い分野(産業界)にその影響が及ぶのです。


高度で特殊な技術が必要なシリコンウェハーなどは企業数や工場数も限られてしまうので、そのような状況に陥ると社会的にも国の経済的にも大ダメージになります。

裏を返せば半導体はそれほど身近な存在で、もはや私たちの生活とは切っても切り離せない存在であると言えます。


そんな半導体はパソコンやスマートフォン、テレビなど今や生活の一部といっても過言ではないほど私たちに欠かせないモノに使われています。

それに加えて現在は自動車や飛行機、新幹線などの制御装置の部品としても使用されており、今日では宇宙開発や自動車産業でも半導体は欠かせない存在となってます。


近年、IoT「Internet of Things = モノのインターネット化」と言う言葉に代表されるような次世代的な概念が生まれ、様々なモノが革新的な進化を遂げています。

その例として自動車が挙げられますが、そこでも半導体は欠かせない要素です。


例えば、電気自動車や自動走行運転システムを搭載した自動車の電力モーターやバッテリーなどの動力制御装置を製造するために使われています。

一方で家庭というフィールドでも省エネルギーを目的とした機能を搭載した洗濯機や冷蔵庫、テレビなど、近年では半導体の技術が用いられている家庭用太陽光発電システムの普及があります。


最近では「スマートハウス」なんて言葉も耳にするようになってきました。まだまだ半導体は私たちの生活を支える役割を担い続けていきそうです。



最後に

以上で《半導体・電子部品の工場ワーカーなら知っておきたい業界情報!》についての記事は終わります。


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また半導体・電子部品業界の工場においては様々な職種があり、自分に合ったものが見つかるかもしれません。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!